Hoyo de Monterrey Le Hoyo Du Gourmet / オヨ デ モンテレイ レ オヨ デュ グルメ

スペック

形状:Palmas(33×170) 25本入SLB Box Code:EAR ABR 02
2013/4/28 Cigar Oneオークションにて購入 $300

序説

この葉巻について

 オヨのデュ グルメは、1974年に販売開始され、2013年に販売中止になったビトラだ。細くて長いビトラの端的なもので、味わい深くてなだらかな変化の香味が楽しめる一本だった。シガーワンのオークションで入手したもので、この頃の価格からして凡そ1.5倍程度である。

購入時点での喫った感想

 入手時点で13年が経過していた。草と木質に、ほのかに蜜が香る。コク深い。濃厚なココア、コーヒー、少しのナッツ、蜂蜜に濃厚なチョコレート。煙は刺激的で荒い、レ オヨらしいと言えばらしい煙。蕩けるような甘さがあって、吸い易いのでペースが速くなりがちだが、この葉巻はゆっくり吸ったときに良い香味が現れがちに思う。ドローが悪い個体が多く、当たり外れが激しい。強さはミディアムーフル。

外観・状態

  • 薄くブルームを纏うこの姿はまるで枯れ枝のよう。
  • 油分は枯れ切っているが、油分の跡が滲んでいる。
  • 美しいコロラド色の外観。
  • 葉脈はきちんと処理されており、目立たない。
  • 揉むと固い。葉が詰まっている印象。
  • 弾力はほとんどなく、乾燥気味。
  • ドローは少し固い。

喫味

序盤

 着火すると、爽やかな石鹸の香りにうっすらと黒糖が乗る。クヌギの材木から滲み出すようにレーズンが出る。

 少しすると、オークモスが現れ、後味にバターが残る。シトラスと油分の乗ったレザーを感じる。硬めに炊いた白米の甘みと旨味。味わいは実に多彩で美味しい。

 らせんを描くように、石鹸、バター、レザー、黒土、クヌギ、シトラス、黒糖などが絡み合って、細かい点のような他の香味、ナッツやレーズン、オークモスなんかを巻き込んでいく。

 だんだんとレザーや黒土が主張を強め、クヌギが隠れがちになる。梅の花の香りが加わる。

 白粉のように乾いた煙。煙は乾いているのに、見え隠れするナッツやバター、黒糖には湿り気を感じる。

 経た年月に相応しい柔らかな煙。煙は口の中に全く当たらない。時折、口の中に入ったのかすら怪しく感じる。煙量はこの太さにしては豊富。強さはミディアムーライト。

中盤

 梅の花が強く香りだす。ハバノスの古いものは、大体花の香りがする。梅の花の香りはロメオのリミターダなんかでも感じることがあるが、古いものでここまで梅の花の香りがするのは、なかなか珍しい。

 強さは増してミディアム。

 灰は堅くてしっかりとしている。

 次第にビターなチョコレートが出てきて、味わいとしての甘みが消失する。僕は甘い葉巻が好きだが、グロリア クバーナのメダイユドールNo.1しかり、こういった古い葉巻で甘みが欠落するのは、なぜだか香味として悪く感じない。

 過去はともかく現在は香りが強いので、香りの葉巻と言って良いと思うが、しっかりと地に足の着いた味わい、特に黒土やレザーの味わいがあるので、重心は低く感じる。どっしりとまではいかないが、地に足を付けて歩くぐらいの、地球の重力に似た重みはある。

 エピキュア デ ルクセで感じたような、細かくて粒子のようで動かしがたい煙はこのデュ グルメでも同一で、オヨの古いものに特徴的な煙なのかもしれない。

 後味に野菜炒めを焦がしてしまったときのような、強い苦み。ちょっと強く吸い過ぎか。

 梅の花が香水に変わっていく。

 苦味は気にならないが、まとわりつくようなバターは、やや味わいから浮いて感じる。

終盤

 香水が依然強い。その下にナッツとレザー、クヌギ、黒土と糖蜜。後味に石鹸の香り。魚介系の出汁の旨味が強い。

 メダイユドールNo.1と喫味は似ているが、こちらの方が香りが弱く、石鹸に近い。味わいはこちらが多彩だが、層が薄くて厚みがない。メダイユドールNo.1ほどの圧倒的な感じはなく、只々陶然とするようなリラックス系の葉巻。当たり前だが、香味は似ているものの、全く別物。

 それにしても、この一本は完全に枯れ切っていると言って良いような香味。

 ヒースの香りがバターと融合して、油の粘度を以って、乾いた煙にまとわりつく。不思議な感覚。後味にトロピカルフルーツ。

 この葉巻ならではの魅力というのは、確かにある。パッヘルベルのカノンの終わりがけのような静かさが、僅かな抑揚を伴って流れていくかのようだ。

ラスト

 刺すような金属感が口の中に残る。ほんのりと糖蜜の甘さ。吸えば吸うほど、味わいが研ぎ澄まされていく。カスタードクリームの残滓と花の蜜、ビターチョコレートで終了。

総評

 油分のまとわりつく乾いた煙が特徴的で、時を経て、香水の香り高く、その下に様々な香味が点在するような葉巻だった。

 造りに問題を抱えるものが多い中、この一本に関しては、質が高く、燃焼の問題もほとんどなかった。この一本がもはや失われて久しいのは、只々無念だ。

 特に終盤に於いて、少々冗長さを感じた。味わいの変化は常にあるものの、その振幅が少ないためだろう。しかしながら奇妙なことに、持ちきれないくらい短くなってもまだ終わりたくない、いつまでも吸っていたかった。カノンが終わるのが少しだけ寂しいみたいに。

 派手さはないが、僕はこの葉巻、結構好きである。枯れてしまって捨てるだけの葉巻では、ない。

012345678910備考
ドロー    0:息が通らない 5:最適 10:スカスカ
強さ 1:ライト 5:ミディアム 9:フル
今回の点数平均点数製造年購入年点数履歴
93882002年2013年2013年
72,90,89,89,78
92
2014年
84,97
2022年
86,88,94,88
葉巻の点数

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