Saint Luis Rey Pacificos ER Asia Pacifico / サン ルイ レイ パシフィコス ER アジア太平洋地域

形状:Piramides(52×156) 25本入SLB Box Code:MOS JUL 09
2013/6/24 Cigar of Habanosにて購入 $272

 2009年のアジア太平洋地域限定葉巻、パシフィコス。僕はサン ルイ レイの葉巻が大好きだったので、この葉巻にはすごく期待をして購入した。当初吸った印象ではコーヒー、バナナ、ココアや紅茶が香るものの、期待していたようなサンルイレイのERという感じではなく、肩透かしを食らった。今ではどうなっているだろう? 

 ラッパーは油分が枯れているが滑らか、葉脈も目立たない。良い葉が使われていそうだが、葉の厚みはそこまで薄くはないので最上級ではなかろう。しかし良く選別されているとは感じる。形状も立派だ。フットに少しだけ痛みがある。
 この葉巻は巻かれた時期によって異なる2種類のバンドが使われていて、一つはERで使用される特別版のバンド、もう一つは通常品と同じバンドだ。この箱は後者の、通常品と同じバンドが巻かれている。
 揉んでみるとフット側は柔らかく、キャップ側が硬い。明らかに葉の偏りがある。しかし揉んで割れたりはしない、状態としては良さそう。ドローも良好。

 着火すると、ガス香が噴き出し、黒糖と草いきれのシンプルな香味。次第に黒糖の角が取れて、コク深いカラメルの味わいになる。ガス香はかなり強い。サンルイレイらしい魚介っぽさもあるが、どこか洗練されているというか、雑味が少ないというか、正直言って物足りない。強さはミディアムーライト。ダージリンオータムナルのミルクティのような、コク深くて落ち着きのある香味。ミルク感はやや薄い。

 カラメルの香味からコクや旨味が削がれて、粉糖の味わいになる。綿のように軽いレザーと昆布や魚介系の出汁。出汁の風味も、丁寧に濾して上澄みだけを使っているかのように澄んでいる。煙に複雑さも重さもない。一つ一つの香味の要素がはっきりとしている。もがれたままの西洋梨、ステンレスの金型、スペイサイドの標準的なシングルモルトの瓶。どれも塊のままドン、ドン、ドンと目の前に置かれているようで、例えば金属感などは雑味として感じるのが通常だが、こうもはっきり塊として目の前に出されると、雑味ではなく香味の一部として感じるようになる。不思議な感じ、不快ではない。

 長めに灰を保っているが、灰はかなり脆い。タンニンの強い、紅茶のシロップ。甘いシダー。伽羅の香木がわずかに香る。吸えば吸うほど、大好きだったあのサンルイレイから離れていくようで、惜寂の念に駆られる。

 ラストは樹皮の器に淹れられた甘露。この甘露はかなり美味しい。終了。

 全体的に味わいが透き通っている。紅茶や甘露など、美味しい要素は散見されるものの、ここまでクリアだと物足りない。いや、味わいがクリアだったり洗練されている葉巻は他にもあるが、物足りないということはない、サンルイレイだからどうこうと言うよりも、この味わいの構成ならば、葉巻としてもっと重厚でなくてはならない。何かが欠落している、トルセドールが葉組を間違えたのだと思いたい。近いうちにもう一回試してみて、香味を再確認したい。

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